個人向け国債と米国債を比較|税引後利回り・円高の分岐点

個人向け国債と米国債を天秤で比較する無文字のイメージ マーケット
個人向け国債と米国債は、利回りだけでなく通貨・換金条件・為替リスクをそろえて比較します。

2026年10月の個人向け国債・固定5年は年2.39%、10月28日の米5年国債利回りは4.85%です。 税率20.315%を同じように適用する参考計算では、税引後年率は約1.90%と約3.86%になります。ただし、米国債の高い利回りはドル建てであり、円高になれば円換算の優位は縮小します。

100万円を1ドル150円で米国債へ換え、同じ税引後年率で5年間複利運用できたと仮定すると、円換算の損益分岐は約136.37円です。これは将来の為替予想ではなく、約9.1%の円高で今回の利回り差が相殺されることを示す感応度試算です。

この記事では、財務省の2026年10月募集条件、米財務省の日次国債利回り、国税庁の利子所得の案内を同じ軸へそろえ、税引後、通貨、満期、途中換金を比較します。特定商品の購入を勧めるものではありません。

結論:円で使う資金なら利回り差より為替と換金条件を先に確認

比較項目 個人向け国債・固定5年 米5年国債
比較に使う利率・利回り 年2.39% 4.85%(10月28日の市場指標)
税引後の年率目安 約1.90% 約3.86%
元利金の通貨 円 米ドル
満期前の換金 発行1年後から国の中途換金制度 市場価格で売却、価格変動あり
主な追加リスク 1年以内に通常換金できない 為替、価格、スプレッド、手数料

円建てで元本の安定を優先し、1年以上使わない資金なら個人向け国債は仕組みを理解しやすい選択肢です。米国債はドルで使う予定がある人や為替変動を受け入れられる人が比較対象にしやすい一方、「利回りが高いから必ず有利」とは言えません。

公式確認できた利回り:固定5年2.39%、米5年4.85%

2026年10月募集の個人向け国債は、変動10年が初回2.05%、固定5年が2.39%、固定3年が2.07%です。募集期間は10月8日から30日、発行日は11月16日です。固定5年は発行時の2.39%が満期まで変わりません。

米財務省の日次パー・イールド・カーブでは、10月28日に1年4.47%、2年4.67%、3年4.80%、5年4.85%、10年5.05%でした。これは市場価格から計算された年限別の指標であり、国内証券会社で特定銘柄をその利回りのまま買えることを保証する数字ではありません。実際の購入利回りは銘柄、残存期間、価格、経過利息、売買スプレッド、取引時刻で変わります。

年限 個人向け国債 米国債の市場指標 比較上の注意
3年 固定3年 2.07% 3年 4.80% 円建て固定とドル建て市場利回り
5年 固定5年 2.39% 5年 4.85% 満期は近いが換金方法が異なる
10年 変動10年 初回2.05% 10年 5.05% 日本側は半年ごとに利率見直し

Econova独自試算:100万円の税引後利子は約1.9万円と約3.9万円

前提:個人向け国債・固定5年2.39%と米5年国債の指標4.85%に、国内課税20.315%を単純適用します。購入価格、経過利息、為替・売買手数料、外国税、口座条件は除外し、米国債の市場利回りを参考年率として扱います。

比較対象 税引前年率 税引後年率の目安 100万円あたり年額
個人向け国債・固定5年 2.39% 1.9044715% 約1万9,045円
米5年国債・参考指標 4.85% 3.8647225% 約3万8,647円
差 2.46ポイント 約1.96ポイント 約1万9,603円

計算式:税引後年率=税引前年率×(1-0.20315)。個人向け国債は2.39%×0.79685=1.9044715%、米5年国債は4.85%×0.79685=3.8647225%です。

この差額は米ドルと円の交換レートが変わらず、費用もない場合の参考値です。米国債では円からドルへ換えるとき、利息を受け取るとき、償還金を円へ戻すときの為替が異なり得ます。

同じ5年でも完全にはそろわない3つの条件

固定5年2.39%は個人向け国債の発行条件ですが、米5年4.85%は市場全体から計算されたパー・イールドです。比較の出発点には使えても、商品の受取利息や最終的な手取りを直接表す同じ種類の数字ではありません。

そろわない条件 個人向け国債 米国債 購入画面での確認
価格 額面100円につき100円 額面より高い・安い場合がある 買付単価と最終利回り
利息と再投資 年2回、円で受取 銘柄ごとのクーポンをドルで受取 受取日と再投資条件
費用 取扱金融機関の口座条件 売買スプレッド、為替手数料等 円から購入し円へ戻す総費用

国税庁は、国債や外国国債などの特定公社債等の利子について、所得税等15.315%に地方税5%を加えた課税を案内しています。ただし、外国債券の源泉徴収、外国税額、特定口座での損益通算は口座と取引形態で異なります。本記事の20.315%は比較用の共通前提であり、各人の申告結果を保証するものではありません。

5年間の為替分岐:150円から約136.37円で差が消える

100万円を1ドル150円で交換し、両方の税引後年率が5年間変わらず、毎年同じ税引後年率で再投資できると仮定します。個人向け国債は約109万8,920円、米国債は為替が150円のままなら約120万8,761円です。

5年後のドル円 米国債側の円換算参考額 個人向け国債との差
150円 約120万8,761円 約10万9,840円多い
145円 約116万8,469円 約6万9,548円多い
140円 約112万8,176円 約2万9,256円多い
約136.37円 約109万8,920円 ほぼ同じ
130円 約104万7,592円 約5万1,328円少ない

計算式:個人向け国債は100万円×(1+0.019044715)5。米国債側は100万円×(1+0.038647225)5×5年後為替÷150円です。両者が等しくなる為替は約136.37円で、開始時の150円から約9.1%の円高です。

この試算は金利・為替の予想ではありません。実際の米国債はクーポン、買付価格、償還差益、再投資利回りが異なり、為替手数料もかかります。利回り差を円高への耐性へ読み替えるための感応度分析です。

元本保証の意味は通貨と換金方法で違う

財務省の個人向け国債案内では、最低金利0.05%、1万円から購入、発行後1年から中途換金できる仕組みが示されています。中途換金価格は額面ですが、直前2回分の利子相当額が差し引かれます。円で生活する人にとって、元本と利子を円で受け取れる点が特徴です。

米財務省の市場性国債案内では、Bills、Notes、Bondsなどがあり、満期に米ドルで額面が償還されます。しかし日本の投資家にとって、ドルの額面が戻ることと、円換算の元本が守られることは別です。

また、米国債を満期前に売る場合は市場価格です。米SECの債券解説が示すように、市場金利が上がると既発の固定利付債価格は一般に下がります。個人向け国債の国による中途換金制度と、米国債の市場売却を同じ「途中換金」として比較しないことが重要です。

どちらを比較対象にするか:資金の通貨と使用時期で決める

資金の条件 先に比較しやすい対象 理由
将来も円で使う生活防衛資金 預金・個人向け国債 為替変動を持ち込まない
1年以内に使う可能性がある 普通預金・短期預金 個人向け国債は原則1年換金不可
5年間使わず円の利率を固定したい 固定5年 円建てで2.39%を固定
将来ドルで使う予定がある 米国債も候補 円へ戻す必要がない範囲では為替変換を減らせる
途中売却の可能性がある 価格変動とスプレッドを確認 米国債は満期前の売値が変動

個人向け国債の募集期限・買い方・中途換金は2026年10月の個人向け国債ガイド、米国債の現物・ETF・投信の違いは米国債5%の買い方と為替リスクで詳しく確認できます。

購入前にそろえる7つの条件

  1. 使用通貨:満期資金を円で使うか、ドルで使うか。
  2. 使用時期:1年以内、3年後、5年後などを決める。
  3. 表示:表面利率、最終利回り、市場指標を区別する。
  4. 税引後:口座・商品・申告条件をそろえる。
  5. 為替:円高時の円換算額を確認する。
  6. 費用:為替手数料、売買スプレッド、口座費用を差し引く。
  7. 換金:満期前に売る可能性と価格変動を確認する。

よくある質問

米国債の利回りが高ければ、個人向け国債より必ず有利ですか?

いいえ。米国債はドル建てなので、円高、購入価格、売買・為替コスト、途中売却価格によって円換算結果が変わります。

税率はどちらも20.315%ですか?

この記事の比較では、特定公社債等の利子に対する所得税等15.315%と地方税5%を合計した20.315%を共通前提にしています。実際は口座、外国税、商品形態、申告状況で扱いが異なる場合があるため、証券会社・税務署・税理士へ確認してください。

約136.37円になれば必ず同じ結果ですか?

いいえ。固定5年2.39%、米5年4.85%、税率20.315%、開始時150円、5年間同率で複利、費用なしという前提だけの分岐点です。前提が1つ変われば結果も変わります。

個人向け国債は5年間換金できませんか?

発行後1年を経過すれば原則として中途換金できます。ただし、財務省の中途換金Q&Aにあるとおり、直前2回分の利子相当額が差し引かれます。

米5年国債を1年後に売ると元本は戻りますか?

売却時の市場価格によります。金利上昇時には価格が下がる可能性があり、円換算では為替も影響します。

次に確認するのは11月の国債金利と購入時の実勢価格

個人向け国債は次回募集金利、米国債は購入日の銘柄別価格・最終利回りを確認します。比較時は同じ満期、同じ税引後、同じ為替前提にそろえ、家計で使う通貨と時期を先に決めてください。

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本記事は2026年10月29日時点の公開資料を基にした一般的な情報整理です。特定の国債、債券、ETF、投資信託の購入・売却を推奨するものではありません。実際の判断では最新の価格、利回り、為替、手数料、税制、商品説明書を確認してください。

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